日本の大手企業が採用を進めている新しい雇用形態「ジョブ型」雇用。世界的には既に常識、日本の社会もいよいよ変化か・・・と言われていますが、「ジョブ型」雇用で何か変わるのか、どう備えておくべきなのか。
今回は「上司編」ということで、部下をもつリーダーの皆様の立場からお伝えしたいと思います。私は雇用等の在り方をリサーチする研究者ではありませんが、日本の大手企業と外国企業両方での勤務経験を元に、思いつく需要な点をお伝えします。そのほうがリアリティを以て受け取って頂けるかな~と思いまして。
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それは私の仕事ではありません
イキナリですが・・・部下の方からそう言われるようになります。アナタの指示を部下が断ってくるのです。それがひとつの大きな変化です。
何を隠そう私自身20年程前に海外で外国人の女性部下から言われました(笑)。結構ショックなんですよ…。当たり前のようにやってもらえると思って「業務指示」のつもりで気軽に出した指示がまさか部下に断われるなんて!
しかもその時はもっと傷つく言葉で言われました・・・
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「Not in my JD (それは私のJDにはないですね)」
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そうなのです、昨日お伝えしましたように「ジョブ型」雇用形態では、会社(すなわち上司であるアナタ)と従業員(アナタの部下)の間に「Job Description ジョブ・ディスクリプション(業務規程書)」と呼ばれる書面が交わされ、業務内容や報酬形態がしっかり明文化されているのです。このJob Description ジョブ・ディスクリプションは英語の日常会話では「JD」と省略されて呼ばれるので「JDに書いてない仕事を押し付けないで」となるのです。ホント傷つきますよ~。
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「ジョブ型」雇用の時代に求められるマネジメントスキル
ジョブ型で会社と従業員の間に明確な役割が規定される時代、マネージャーが組織を動かし目的を達成するには、今までとは違った意味での高度なマネジメントスキルが求められます。マネージャーの業務定義自体が今までのものとは違ったものになります。
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組織マッピング:単なる組織図ではなりません。目的を達成するのに必要な役割にはどのようなものがあり、それを満たせるスキルを持ったメンバーに仕事として何をやってもらうかという組織全体のデザイン力が問われます。「皆忙しく人手が足りないので誰か雇って埋める」という理屈ではなくなります。
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個人の役割設定:JDにより個々の役割が明確にされている組織の中では、今までのやり方のように、一人の部下に何でも頼んでいいということはなくなります。「アシスタント」というポジションの方に「業務補助業務」ということで何でも屋的な扱いはもうできないということですね。
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部下とのコミュニケーション:それは今でも言うまでも無く重要スキルですが、その意味するところは全くことなります。一方的な指示出しでは動かず、その人の規定されている役割とどう整合し、組織全体にどう貢献すべきなのかをリードしてあげる必要があるのです。
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今までの日本の常識的な仕事の仕方からするとそこまで大きく変えるのは難しいかもしれませんね。日本風の「ジョブ型」雇用なんて、どちらかというと雇う側に都合のいいモデルが作られるかもしれませんが、それでもグローバルスタンダードに近づくトレンドがあるのは間違いないので、このような世界の到来を想定し、より高度なマネジメントスキルの取得を意識しておくべきではないでしょうか。
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