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サウジアラビアの動きから見る世界のトレンド

※一連のブログ記事シリーズを執筆中に新型ウイルスのニュースが入ってきてます

サウジアラビアの観光ビザ解禁は2019年9月末「急遽」発表されたとして、世界を驚かせました。 

本当に急な発表に驚いた方は多かったようですが、実は私はこの流れをある程度予測していました。

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サウジアラビアが観光誘致に動いている動きが見えていたからです。

その背景には以下がありました。

  1. 国際的イベントの誘致・開催
  2. 周辺国の成功
  3. 世界的なビザ解禁の流れ

1.国際的イベントの誘致・開催

サウジアラビアでは2019年だけでみても、サッカー、カーレース・モータースポーツ、コンサート、格闘技イベント、アニメフェア…世界中からファンたちを誘致できるイベントが目白押しでした。観光ビザを発給していない国であるにもかかわらず…です。 

サッカー:イタリアのセリエAの試合が行われ、ユヴェントスのクリスチアーノ・ロナルドがゴールを決めました!

格闘技イベント:ボクシングのタイトルマッチに、米国プロレス団体WWEも

コンサート:世界的にヒットしている韓国のアイドルグループBTSなど

アニメフェア:主なコンテンツはさすがに日本のアニメということで、アラブ各地からファンがつめかけたとか…。

そして個人的に注目していたのは電気自動車のカーレース「フォーミュラE」のサウジアラビアグランプリが開催されたということ。

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(Formula E公式サイトより)

未来のF1と呼ばれるこのイベント、私も2019年はニューヨークでのレースを観戦しましたが、電気自動車でモーターで走るレーシングカーなので市街地開催が可能ということで、首都リヤドの歴史地区「ディリヤ」での開催となりました。アラブの歴史地区を走るレーシングカーというヴィジュアルは新鮮で、この国に新たな動きがあることの象徴的な印象を受けました。

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(会場となったリヤド郊外の歴史地区ディリア)

観光ビザの解禁前にこれだけの世界的イベントが開催されていたのです。もちろん地元のサウジアラビア人を中心とした現地の人たち向けのイベントと言えるかもしれませんが、これだけのお祭りです。海外から人が来ないはずがありません。海外からこれらのイベントに参加したい人は、このためにわざわざビザを申請してきていたのです。

2.周辺国の成功

アラブを中心に中東諸国は豊かな国が多いですが、その象徴はドバイやアブダビを要するUAEではないでしょうか。特にこの国は経済を石油に頼っていません。ドバイではご存知のとおり2000年あたりから不動産開発を進め、街を整備し観光業が大きな収入の柱となり国の認知度を上げ大成功しました。

その他の周辺国でも、バーレーン、オマーン、カタール等成功している国は沢山あります。これらの国々は原油に頼らなければ、金融、不動産開発、ハブ空港整備、テーマパーク誘致等で成功していましたが、注目すべきは大規模な国際イベントの誘致です。

バーレーンやアブダビはF1グランプリを開催し、カタールでは次回のサッカーワールドカップが開催されます。これらのイベントを目当てに渡航するファン・観光客の数はさすがにその経済効果と国の知名度アップにつながっているのです。

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イスラム圏であり、異教徒には少しハードルが高い印象の国々ですが、これらのイベントをきっかけに訪れた人々の中にはそんなイメージを払拭し、リピーターを量産する結果になったとか。中には「仕事」で訪れたアーチストやスポーツ選手が気に入ってそのまま別荘を購入なんて例も実際にあったようです。

私が初めて中東地域を訪れたのは2000年のUAEでしたが、同エリアを訪れる機会は年々増えていきました。仕事で行く機会も増えましたが、これらのイベント目当てにプライベートでの旅行先になるケースが増えてきたのです。2018年と2019年はそれぞれバーレーンとアブダビのF1グランプリを観戦しています。特にアブダビはシーズン最終戦でもあり世界中のセレブが押し寄せるといってもいいほどの盛り上がりです。またバーレーンはサウジアラビアと橋でつながっているだけの隣国です。

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石油による収入に頼り観光客誘致に興味を示してこなかったサウジアラビアでしたが、周辺国がこれだけ盛り上がっているのを見逃すはずはないなと感じていました。

3.世界的なビザ解禁の流れ

観光業は今や世界的な成長産業です。世界中の国々・都市で激しい観光客の誘致合戦が行われている状況なのです。当然各国政府や自治体も大いに注目している産業となっています。

この点でいうと日本が正にそうですよね。安倍政権によるアベノミクス(もはや懐かしい響き)の目玉政策が観光誘致でした。日本を訪れる観光客のビザ要件を引き下げ、海外の人が日本を訪れやすくして、観光業を推進するという政策ですね。「インバウンド」という言葉が一般的となり、地方創生や爆買いといった言葉もおなじみとなりましたよね。今や訪日外国人観光客のGDPへの貢献度も大きくなってきています。

また、日本人のビザ要件も引き下げられる傾向にありますね。「2019年日本のパスポートが世界一になった」というニュースがありました。日本のパスポートでビザなしで訪問できる国の数で世界一になったということでした。この動きの背景には、日本のパスポート所有者に対しビザ要件を緩和している国が増えたということですね。実際この数年、インド、ブラジル、ロシア等それまでややハードルが高かった国々で徐々に緩和の動きが進んでいました。

私にとっての訪れたい国リストの中で注目していた国々が次々にビザ要件緩和に踏み切っているのをみて、サウジアラビアもあり得るなとにらんでいたわけです。

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遂に観光客誘致に踏み切ったサウジアラビア

これらの世界的な環境の中で、イベント誘致による外国人の呼び込みの効果をしっかりと図っていたこの国がいよいよ動き始めました。

サウジアラビア人に聞いたところによりますと、この「観光鎖国政策の転換」を仕掛けているのは皇太子だそうです。オープンマインドな皇太子が原油依存の経済構造を転換しようとしているのです。

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 現時点では日本パスポート所持者でも事前の観光ビザ取得は必要ですが、これが思ったより簡単で、ユーザーフレンドリーなシステムでした。すなわちこの国が本気で観光薬誘致に取り組んでる姿勢が垣間見られるようなものだったのです。

次回はサウジアラビアの新たな観光ビザシステムから見るこの国の狙いと本気度についてお話したいと思います。

(次回に続く)