もくじ
この手のご質問を頂きます。
答えを先に申し上げますと「そのとおりです」
そうなんです、渡航先によりその可能性はあるんですね~
どこの国から帰国したかによって、3日、6日、もしくは最長10日間におよぶ「待機期間」が設けられています(2021年9月時点)。これは、「対象国からの入国者の検疫指定隔離施設待機」という政府のコロナ感染拡大政策の一環として実施されているものです。
つまり帰国してから、最長10日間、政府指定のホテルにカンヅメ状態で部屋から一歩も出られません。
私も当然2021年体験しております(自分の場合は3日間ですが)
これが現在、我々が日本から海外渡航する際の大きなハードルのひとつになっていることは間違い無いでしょう。
よく聞かれる質問ですし、拙著「コロナ禍での海外渡航術」を発売した2021年1月時点ではなかった制度であり、当ブログにてアップデートの意味を込めて解説、および私自身の体験をシェアさせて頂きたいと思います。
1.政府指定のホテルに強制隔離?「検疫指定隔離」とはどんな制度?
日本在住の日本人を含む全ての渡航者が外国から日本に入国する場合、様々な条件が課されます。 そのうちのひとつが「検疫所が確保する宿泊施設での待機」つまり「政府指定ホテルでの強制待機」ということです(以降あえて「強制待機」とします)。
その前に、そもそも海外から日本に入国すると、自宅などで14日間の待機が求められるのはご存じかと思います。その場合、毎日健康状態の報告等を求められるものの、近所のスーパーやコンビニ等食料の買い出しなどでの外出は認められています。
ところが、このホテルでの「強制待機」は部屋から一歩も出ることができず、待機期間中ずーっと部屋の中に居ないといけません。宿泊先(待機先)のホテルは検疫所指定であり、自分で選ぶことはできず、食事も1日3食運ばれてくる弁当をいただきながら、部屋の中で過ごすことになります。
現在海外渡航するにはこの「強制待機」を考慮して準備しないといけません。
ズバリ渡航先の国によって決まります。私の場合はオランダから帰国しました。オランダは「3日間」の待機対象国となっていました。
このように過去14日間の滞在歴によって期間が決まってきます。
厚生労働省 (mhlw.go.jp)
↑ こちらのサイトで確認ができます。もちろん頻繁に更新されますのでご注意を。
- 入国日は「待機期間」にカウントしない(月曜日帰国して3日間の待機の場合は、火~木の3日間が対象)
- 入国時のPCR検査で「陰性」判定が出た人が対象(陽性の場合は別の施設での待機となります)
- 待機期間の最終日にPCR検査を受け「陰性」判定となった場合のみ施設(ホテル)から出られる
- 施設(ホテル)からの退所後も、入国後14日間の自宅待機は続く
詳しくは、次の章の私自身の体験記でご確認ください。
2.部屋から一歩も出られない!? 隔離期間のリアル
2021年9月オランダから帰国した私は羽田空港に到着しました。
現在のコロナ禍の手続としては、順番にPCR検査を受け、検査結果が出るまでの間、書類や位置情報アプリのチェック等を経てPCR検査結果が「陰性」であれば正式な入国手続きに進めます。その際に、公共交通機関を使って帰宅しない、その後の14日間の自宅待機等の注意を改めて受けることになります。
こうした流れについては、もう何度目かの体験になりますので、都度手続きや流れが更新・変更されているとはいえ、私としては慣れたものです。
但し今回は初「強制待機」の対象となります。
今までと何が違うのでしょうか。
まず、PCR検査の前後、渡航先の確認の際「強制隔離」の対象となる国からの帰国であることが確認されると、目印の札を渡されます。
「オランダからの帰国ですね~ではこの後ホテルにご案内しますので、こちらの札を持ってお待ちください」
PCR検査の結果が出たら、同じくバスに搭乗する人たちの列の椅子に座って待つことになります。同乗するバスの乗客全員のPCR検査結果が出たら、全員で入国審査を通過し、手荷物を受け取ることになります。
手荷物検査の税関手続きを経て、到着ロビーに出てもやはり、他の乗客が全員揃うまで待ちます。
全員揃って到着ロビーからバス乗り場に移動し、そこで待機しているバスに乗り込みます。この時点でもまだ宿泊先のホテルは発表されません。バスに次々乗り込みますが、ここでも他の乗客を待つことになります。
同じバスに同情する乗客が全員乗り込んだ後、ドライバーさんからようやくホテル名の発表がありました。ここから30分ほどかけて横浜市の「アパホテル」に向かうことが発表されます。
バスはそのまま羽田空港から宿泊先の「アパホテル&リゾート横浜ベイタワー」に到着しました。
羽田着の場合はこのホテルや、都内の周辺ホテルになる場合が多いようです。
つまり都内であれば一般的なビジネスホテルをイメージして頂ければ同等のホテルになるということで準備しやすいと思います。この日夕方の18時半に到着したフライトでしたが、ホテルに到着したのは22時頃でした。
(目安)
ということでフライト到着から、約5時間後ホテルに入室しました。ようやく一人になれたわけです。
部屋は通常のシングルルームといった広さでした。
20㎡ほどでしょうか。窓際のベッドに、ちょっとした作業ができるデスクスペース。ユニットバス、小型の冷蔵庫、部屋着、スリッパ、ヘアドライヤー、湯沸かしポッドなどの基本的な備品の他、歯ブラシや髭剃り、紙コップや粉末のお茶やコーヒーもあります。また、テレビはBS放送も受信可能で、部屋はWIFIが完備されていました。通常のビジネスホテルへの宿泊と同様のものは備えてありました。
3日間この部屋から一歩も外に出られないことを考えても滞在に充分な設備を揃えてくださっていると思います。
一方、通常のホテルとして営業しているわけではありませんので、通常のホテル宿泊時と比べてサービスに制限があります。タオルやシーツ等の理念の交換は、毎日定期的に行われるわけではなく、初日に備えられているものを3日間使うことが原則です。もちろんお願いすれば交換してもらえるようです。その際はリネン用の袋に使用済みのタオル等を入れて部屋の外に置き、別途届けてもらうということのようです。
そしてチェックイン(入所)の際に、弁当とペットボトルの水1食分を渡してくださいます。ここで最初の食事を部屋でとることになります。食べ終わった弁当はビニール袋に入れて口を結び、部屋の外に置いておくと回収してくれます。ここから、毎日3食、部屋のドアノブの外にひっかけてくれる形で弁当が届けられ、食べ終わると同じ要領で回収してもらうことになります。
その日は疲れもあってか早速休み、翌日は通常通り起床すると、ほどなくして朝、朝食が部屋に届けられます。
こうして帰国&チェックイン(入所)の日の翌日から1日目のカウントが始まり、3日間の待機生活がはじまりました。
弁当とペットボトルの水がセットで配られます(時々インスタントの味噌汁等のスープも)。部屋の外側のドアノブにビニール袋に入れられた弁当がひっかけられる形で配布されます。食べ終わったら配られた時と同じように弁当の箱をドアの外側に置いておきます。
毎回少しづつメニューが変わっており飽きないように工夫頂いているのかもしれません。
有難いことではありますが、普段から一日2食ということもあり、さすがに部屋から一歩も出ずに3食毎回食べるのは辛かったので、事前に相談しておくと2食にしてくれたりします。また、宗教上の食事制限にも応じてもらえるということでした。
そして、自身で持ち込んだものを含めて飲酒は禁止です。更に、館内完全禁煙でもあるようですが、入所時に確認されたのでひょっとしたら対応可能なのかもしれません。
このMySOSは多くの場合AIによる自動通話で、自分自身をビデオ撮影する形で場所を申告するというのがありますが、時々AIではなく実際に人からかかってくるのですが、たまたま待機中にこの通話がありました。「あっ待機施設ですね(笑)」みたいな会話になりました。
さらに、アプリを使った申告とは別に、強制待機中には毎日スマホの専用画面を使って健康状態を申告しなければいけません。入所時に渡される体温計で検温を行い、その他の状態を細かく申告しますが、朝8時までに行わないと部屋に電話がかかってきて催促されることになります。
まずコインランドリーは自由に使えず、朝イチに電話で利用意思を伝える必要があります。予約できるわけではなく、希望を伝えて、順番に空き時間になったら部屋の電話に連絡が来ます。
利用時間には部屋にご担当の方が迎えにきてくださり、付き添いのうえでコインランドリーの設置場所まで行きます。原則部屋からは一歩も出られず、館内を自由に歩き回れないわけですね。担当の方の同伴でのみランドリーを利用できます。
私の場合、ランドリー稼働、乾燥機への衣類の移動、乾燥後の衣類の引き取りと、合計3回部屋から出る度に、担当の方が同伴してくださいました。
同様に、外部のデリバリーサービス(出前やUBERイーツ等)も時差が生じたりするようです。配られる弁当とは別に食事を頼もうとするのには少々ハードルが高そうです。
またベッドの上ではありますが、簡単なエクササイズで身体を動かすということもできました。基本インターネットに接続が出来てPCやスマホがあれば、テレビさえ要らないというのが私のライフスタイルです。
自分の場合は、その日オンライン会議が午後に数件ありましたので、午前中には荷物を全部まとめておきました。午後に電話がかかってきて、陰性の検査結果の通知と共にその場で部屋の退出を促されました。
部屋を出てロビーに向かうと既にバスが待機しており、そのまま羽田空港に運ばれて解散になります。そこから先は当然公共交通機関の利用は認められず自分で交通を手配しないといけません。
施設はアパホテルですが、通常の営業はしておらず、世話をしてくれるスタッフの皆さんは全て検疫所のスタッフさんたちです。部屋の電話で相談できる先も全てホテルの人ではなく検疫所の人でした。日本の場合この強制待機のコストは、利用者が負担するものではありません。
外国の場合入国時の隔離費用は本人が負担するというケースが多いので、負担なく強制隔離施設に滞在できることになります。宿泊代も部屋の備品も毎日の食事も全てがそうです。つまりこれらは税金を財源とした国の施策ということになります。
強制待機施設だけではありません。空港にはたくさんのスタッフさんたちがいて、他の外国と比較しても丁寧な対応をしてくださってました。
利用する立場としては、自分の海外渡航がこういう税金の負担があるということを理解しなければいけませんね。よくしてくださったスタッフの方にお礼を伝えたいと部屋には簡単なメッセージを残させていただきました。
3. 今後隔離期間を意識しての海外渡航計画について気を付けること
前述の通り強制隔離の有無と隔離期間は過去14日間の滞在履歴によって変わります。海外渡航の際、出発前に当然しっかり確認しておく必要があります。渡航期間の準備だけではなく、帰国後の強制隔離を経ないと帰宅できないことになりますので、このぶんの準備も必要となります。
食事:前述のとおり食事は提供されますが全てお弁当です。それ以外の食事となると前述の「デリバリー」「差し入れ」となりますが、部屋に届けられるのは翌日になったりしますので注意が必要です。ということは、必要な人は、海外渡航への出発前や帰国前からおやつなど必要な食料を準備しておく必要があります。最後のチャンスは、羽田空港のPCR検査の結果待ちの控室です。私の時はたまたまそのスペースにドリンクやスナックが買える自動販売機がありました。
その他食料嗜好品の類:飲酒は禁止されています。健康管理上の理由かと思いますが、飲み物は毎日食事と共に配られるペットボトルの水、と水道水、そしてそれらを利用して作るインスタントのお茶とコーヒーになります。それ以外の飲料は、デリバリーや差し入れを頼ることになります。
薬など:衣料や薬など、これらももちろん滞在期間中に必要な量の薬に加えて、帰国してからの強制待機期間も考慮に入れておく必要があります。衣料であれば前述のとおり、ランドリーが使えるかもしれませんが、予約制であり必ず利用できるとは限らないところに注意が必要です。
その他生活必需品:基本的には海外の滞在先から帰ってくるというケースが多いと思います。そのために準備しておくべきものは持っていくべきでしょう。個人的には例えば、爪切りとかですかね。宿泊所で借りられるかもしれませんが、感染防止を考えると自分の必需品は持っておくべきでしょうね。
[…] 海外から帰国した際の政府指定のホテル「強制隔離」って実際どうなの!? […]